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押し寿司の炙りと手毬寿司 ─#01「きのうの茜と舟歌の市場」より─


港町アラビの積み木市場へ買い出しに出かけたハクメイとミコチ。
しかしミコチがサイフをなくしてしまったことに気づきます。
落ち込む彼女に、行きつけの喫茶店兼呑み屋「小骨」のオーナーが持たせてくれたのがお弁当。これを持ってたまには観光気分で市場を楽しんでこい、という粋な心遣いです。

早く弁当を食べたいハクメイをどうどうとおさえ、市場のはずれの古い広場までやってきた2人。ここで開けたお弁当の中身は、手鞠寿司と押し寿司の炙りでした。

料理好きな「小骨」のオーナーのこと、おそらくどちらも手作りなのでしょう。ミコチが太鼓判を押すレベルの鮮魚がそろう市場の食材を使ったであろうお寿司、とても美味しそうです。

今回はこの「押し寿司の炙り」を再現してみました。見た目はシンプルなバッテラのようですが、「炙り」が入っているのがポイント。


材料(2人分)
・しめサバ(アジ)用
・サバ(3枚おろし) 1尾分(※アジの場合は2尾分)
・塩 適量
・酢 適量
・昆布 適量
・米 1.5合
・すし酢(米酢60ccに砂糖大さじ3、塩小さじ1を合わせたもの) 大さじ3
・白板昆布(甘酢に漬けておく) 1~2枚
・ガリ(生姜の甘酢漬け) 適量

作り方


1.新鮮なサバやアジが手に入る方は、自作しめサバ(アジ)にチャレンジしてみてはいかがでしょう。三枚におろした切り身に隠れるほどの塩を振って1時間置き、洗い流して水気をふきとったら、酢と昆布で3時間ほど漬けるだけです(小骨と薄皮をとるのも忘れずに)。

サバの場合、生食可能なものを手に入れるのは難しい場合もあります。鮮魚店で聞くのが一番ですが、断られたら市販のしめサバを使いましょう。
2.米を炊き、熱いうちにすし桶に入れて、すし酢を回しかけてしゃもじで切るように手早く混ぜ、かたく絞ったふきんをかけておきます。
3.押し寿司用の型に、厚みがだいたい均等になるように魚を並べます。しめサバは、身の端を切り落としてスペースを埋めるように調整します。
4.酢飯を詰めていきます。型の端までしっかりご飯を詰めるのがポイント。型のフタでしっかり押しつけます。

押し寿司用の型のフタにカットしたオーブンシートを敷いておくと、米粒がくっつかずきれいに仕上がります。
5.型から外したら、しめサバの部分をバーナーで炙ります(周囲に燃えるものがないか注意)。

甘酢に漬けて戻した白板昆布を乗せ、切り分けて完成。

完成




昔は握りずしに比べて地味な印象がありましたが、歳をとるほどにしみじみと美味しいなあ、と思う押し寿司。
甘めにした酢飯と、炙ったしめサバが相性◎。ここに温かい汁ものがあれば、もう何もいらない。
こちらは、しめアジ版。

アクシデントを前向きに楽しむ気持ちにさせてくれた、押し寿司のお弁当。市場の魅力と、人々の温かさを感じたシーンでした。




レシピをつくったひと:梅本ゆうこ
1979年大阪府生まれ、関東在住。
普段は会社員兼主婦。好きな食べ物は梅干、ビール、いちごのショートケーキ。
マンガの好みは雑食。2012年2月にリトルモアより書籍「マンガ食堂」出版。

マンガ食堂公式サイト:http://mangashokudo.net/